水は玄関の近く。米は台所。缶詰は引き出しの奥。
家の中にある食べものを思い浮かべると、いくつも扉を開けることになる。

食品庫。パントリー。扉を一枚開ければ、そこにまとまっている。そんな場所があったら、ツナ缶を探して三つの棚をのぞかなくて済みそうだ。
農林水産省は、普段の食品を少し多めに備え、食べた分を補うローリングストックを紹介している。買うものはすぐ浮かぶ。水、缶詰、レトルト食品。
けれど、買って帰ったところで別の問いが待っている。
どこに置く?
専用の一部屋を増やすのは難しい。棚の一段なら、空けられるだろうか。袋や箱に書かれた保存方法を見ながら、熱や湿気のこもらない置き場所を考える。
奥へ押し込むと、買ったことごと忘れそうだ。手前に出しすぎると、今度は毎日の茶碗が取りにくい。食べもの一つぶんの場所をつくるだけでも、台所の中を少し歩き回る。
食品庫という部屋がなくても、食品庫のことは考えられる。
まずは、その棚の扉を開けてみる。