黒豆を見ると、正月だと思う。
十二月。
スーパーに「丹波黒」。おせち売場にも黒豆。
うん。冬の食べもの。
・・・・・・と思っていた。
十月。
丹波篠山では黒枝豆を食べる。
同じ黒大豆。でも、まだ若い。早い時期は莢も青く、熟すにつれて色が変わっていく。
最初から、真っ黒ではないんだ。
黒豆なのに。
さらに巻き戻す。
六月。
田植えのころ、かつて丹波篠山の農家では、自分たちで食べる黒大豆を田んぼのあぜでも育てていたという。
その豆を炊き込んだ黒豆ごはん。
ごはんは、うっすら紫色になる。
「さびらき」と呼ばれる田の神の行事では、それを丸めて朴の葉で包み、神棚や田んぼへ供えた。
六月。
十月。
十二月。
同じ豆なのに、三回も季節が変わった。

全国へ出てくると「おせちの黒豆」という顔がいちばん分かりやすい。でも産地へ戻ると、田植えにもいる。秋には枝豆になる。祝いの日や法事にもいる。
黒豆、思っていたより忙しい。
十二月だけの人じゃなかった。
次に黒枝豆を見かけたら、たぶんちょっと立ち止まる。
まだ熟しきる前の黒豆。
・・・・・・やっぱり名前が面白い。