木曽の山道を走るなら、探してみたい看板がある。
「五平餅」
あった。
こういう看板、見つけると止まりたくなる。
道の駅。峠の店。古い町並みの軒先。
見つけたら、「一本ください」。
奥で焼き始める。
味噌の匂い。
・・・・・・まだかな。
五平餅は、ごはんをつぶして串につけ、たれを塗って焼く。木曽や伊那、岐阜の東濃、愛知の三河など、中部の山あいに広く残る食べものだ。
でも、次の町へ行くと形が違う。
丸い。
平たい。
団子が二つ、三つ。
わらじみたいに大きいものまである。
同じ五平餅だよね!?

串も違う。たれも違う。
味噌。醤油。くるみ。ごま。山椒。柚子。
木曽から少し移動しただけで、五平餅が着替えていく。
起源にはいくつか説があり、山仕事との関わりを伝える地域もある。米が貴重だった時代には、祭りや祝い、田植えのあと、新米の時期などのごちそうでもあったという。
いまは一年中食べられる。
だからこそ、移動しながら食べ比べられる。
木曽で一本。
次の町で、また一本。
・・・・・・いや、さすがに二本目はあとで。
焼けた。
紙に包んでもらう。
串の端を持って、ひと口。
味噌が少し焦げている。
車に戻る前に、半分くらい食べてしまいそうだ。