そう思ったのは、復刻版の箱を見たからだった。
茶色い箱に、少し古めかしい文字。
1926年。
大正15年。
・・・・・・100年前!?
明治ミルクチョコレートは、2026年9月13日で発売100周年を迎えた。
その記念に出た復刻版は、昔のパッケージを使っただけではない。発売当時に使われていたトリニダード・トバゴ産とサントメ・プリンシペ産、2つの産地のカカオ豆をブレンドして、現在の技術で当時のレシピを再現しているという。
そこまで戻すのか。
急に気になる。
100年前の人と、同じチョコを食べられる?
もちろん、まったく同じではない。
カカオ豆も農作物だし、つくる設備も違う。食べるこちら側だって、100年前とは違う。
それでも、当時の産地までたどって、今の技術で味を近づけてみる。
なんだか、食べるタイムマシンみたいだ。

そのころ誰かが、
この板チョコを
初めて割った。
変わらないために、
少しずつ変わる。
復刻版をひとかけ。
いつもの味を
もうひとかけ。
1926年の日本では、チョコレートはまだ今ほど身近なお菓子ではなかった。明治のブランド史によると、それまで贅沢品だったチョコレートが、人びとの手に届くものになり始めたころだったという。
そのころ誰かが、この板チョコを初めて割った。
ぱきっ。
どんな顔をしたんだろう。
甘い!
だったのか。
苦い?
だったのか。
もう一枚ほしい、だったのか。
・・・・・・聞いてみたい。
そして100年後。
私たちはコンビニやスーパーで、チョコをかなり普通に買う。
仕事の途中。帰り道。コーヒーと一緒に。冷蔵庫に一枚。
100年前には新しかったものが、いつの間にか「いつものもの」になっている。
でも面白いのは、ずっと同じ味をそのまま保存してきた、という話でもないことだ。
明治は、基本のレシピを守りながら、原料の選び方やブレンドなどを時代に合わせて調整し、おいしさをつないできたと説明している。
変わらないために、少しずつ変わる。
・・・・・・ん?
逆みたいだけど、ロングセラーってそういうものなのかもしれない。
復刻版をひとかけ。
次に、いつものミルクチョコレートをひとかけ。
交互に食べてみたい。
1926。
2026。
1926。
2026。
そんな食べ方、ちょっと面白くない?
100年を比べるのに必要なのは、歴史の教科書じゃなくて、チョコ二枚。