徳島の山へ入っていく旅を、思い描く。
道が細くなる。
谷が深くなる。
祖谷。
この土地の郷土料理資料で見つけた名前が、
でこまわし。
・・・・・・何を回すの?
出てきたのは、串。
じゃがいも。
豆腐。
こんにゃく。
そば団子。
串に刺して、味噌だれを塗って、火のそばでくるくる回しながら焼く。
あ、本当に回してる。

「でこ」は木偶、人形のこと。
串に刺さった具材を回しながら焼く姿が、人形がくるくる回っているように見えることから、この名前になったと伝わる。
名前を知ってから見ると、急にそう見えてくる。
じゃがいもが上。
豆腐が真ん中。
こんにゃくが下。
・・・・・・ちょっと人っぽい?
いや、そこまでではないか。
祖谷は山深い土地だ。
そこで採れるじゃがいもや、硬めの豆腐、こんにゃくなど、身近なものを串に刺して焼く。
味噌が火に近づく。
じりじり。
少し焦げる。
匂いが出る。
また回す。
反対側も焼く。
料理名だけ聞いたときは、もっと不思議なものを想像していた。
でも材料を見ると、じゃがいもと豆腐とこんにゃく。
かなり普通。
普通なのに、山を越えてここまで来ると、名前も食べ方も知らないものになる。
いつか現地で、一本もらいたい。
熱い。
味噌はどれくらい甘いんだろう。
次の具まで、串を少しずらす。
・・・・・・でこを食べる日が、楽しみだ。