酒をつくる。
瓶に詰める。
蔵から送り出す。
酒蔵の仕事は、そこで終わる?
神戸酒心館には、四つの蔵がある。
最初は福寿蔵。ここで酒をつくる。
酒ができたら、次は東明蔵。蔵元限定の酒や食品、菓子が並び、二十年以上続く生酒の量り売りもある。
同じ酒が、つくられるものから、選んで持ち帰るものへ変わる。
その先には、蔵の料亭「さかばやし」がある。
地元の旬菜、自家製豆富、蕎麦と一緒に、酒を味わう場所。個室のテーブルには、震災で倒壊した蔵の赤松材や、酒槽に使われていた榧の木も再利用されているという。
酒だけが、蔵から出てきたのではない。
酒をつくっていた木まで、食事の場所へ移っている。

もう一つの豊明蔵では、音楽や落語などの催しが開かれる。
酒をつくる蔵。
酒を持ち帰る蔵。
酒と食べる蔵。
音を聴く蔵。
四つは、別々の施設というより、酒ができたあとの四つの続き方に見える。
1751年から酒をつくってきた場所が、完成した一本を送り出すだけでなく、その一本をどう持ち帰り、どう食べ、どんな時間の中に置くかまで残している。
酒ができた。
でも、酒蔵の話はまだ終わらない。
※飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。