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STORY 49

一パックの後ろに流れる、原木しいたけの時間をたどる。

スーパーでしいたけを買うのに、二年はかかりません。売場へ行き、パックを選び、かごに入れる。数分あれば十分です。

でも、原木しいたけの時間を少し前まで戻してみると、その数分の後ろにずいぶん長い時間があります。

林の中の原木から育つ茶色いしいたけを描いた水彩イラスト
原木から育つしいたけ。イラストはイメージです。Illustration: YOMITABE

農林水産省が紹介する原木栽培では、まず秋から冬にかけてクヌギやコナラなどの木を伐ります。木を倒したら、すぐにしいたけが出るわけではありません。乾燥させ、適当な長さに切り、春になったら原木に穴を開けてしいたけ菌を植えます。

そこから、また待ちます。

菌が木の中へ広がるまで、およそ一年半。その原木を発生させる場所へ移し、ようやくしいたけが出てきます。原木を用意するところから数えれば、収穫まで二年以上かかる例もあります。

二年。

そのあいだに、私たちは何回しいたけを食べるでしょう。鍋、炒めもの、炊き込みご飯。焼いて、しょうゆを少し。食べる側ではずいぶん身近な食材ですが、原木の側では季節を何度もまたいでいます。

秋に木を伐り、冬を越し、春に菌を植える。夏が来て、また秋、また冬。そして、ようやく傘が開きます。

もちろん、いま店頭に並ぶ生しいたけのすべてが原木栽培ではありません。農林水産省によると、2025年の国内生しいたけ生産量では菌床栽培が約94.7%を占めています。

だから、スーパーのしいたけ全部に「二年」が入っているわけではありません。

一年中見かけるしいたけの中には、森で木を待つつくり方と、施設の中で安定して育てるつくり方があります。同じ「しいたけ」という名前でも、そこに流れている時間はずいぶん違います。

次にパックを見るときは、「原木」「菌床」という二文字にも目を留めてみてください。栽培方法だけでなく、そのしいたけが過ごしてきた時間まで少し見えてきます。