← STORIES
TIME


9月、月見が多すぎる。

月見バーガー。月見マフィン。メニューを見ているだけで、何度も月に会う。

ただし、見ているのは空ではなく、卵だ。

黄色い。丸い。

あ、そこか。

マクドナルドも、卵を月に見立てたバーガーだと説明している。月見そばの黄身を思えば、丼からパンへ引っ越しても、月だと分かる。

私たち、黄色くて丸ければ、かなり簡単に月を見つけるらしい。
空の満月と、月に見立てた黄身をのせたそばのラフな水彩イラスト
空にあった黄色い丸は、いつの間にか器の中にもいる。Illustration: YOMITABE

面白くなってきた。

Scroll

そもそもの月見は、本当に月を見るものだった。

国立天文台によると、中秋の名月をめでる習慣は、平安時代に中国から伝わったとされる。日本では農業の行事とも結びつき、芋名月という呼び名もある。

見上げる月があって、収穫したものがある。長い時間の向こうで、その二つが結びついていた。

いまのメニューへ戻る。

今年のマクドナルドには、あんことおもちの入った月見パイがある。さらに、シャインマスカット味の月見シェイクまで。

……ぶどうでも、月見?

黄色くて丸い、だけでは説明できなくなってきた。

月の形をした食べものから、月を見る季節に食べたいものへ。名前の中の「月見」が、少し広くなったように見える。

昔の月見が消えて、卵に置き換わったわけではない。空を眺める月見の横に、バーガーや甘いものを楽しむ月見が並んでいる。

月見、増殖中。

こんなに食べものの月を見ていると、空の方も気になる。

帰り道は、メニューから目を上げよう。

今日は、どんな形だろう。