たとえば、9月のデパ地下を歩くなら。
外は、まだ暑い。
木も青い。
秋?
まだじゃない?
百貨店に入る。
エスカレーターで地下へ。
一階ぶん降りる。
栗。
ぶどう。
いちじく。
洋梨。
・・・・・・秋、いた。

地上より先に、地下にいた。
少し歩く。
栗はモンブラン。ぶどうはタルト。りんごはお菓子。
その先へ行くと、きのこやさつまいもが惣菜になっている。
店は全部違う。
なのに、通路を歩いていると、全部まとめて「秋」に見えてくる。
面白い。
洋菓子店だけならケーキの秋。和菓子店なら栗と芋の秋。惣菜店なら今日の夕食の秋。
デパ地下では、その間を自分で歩ける。
甘い。
しょっぱい。
贈りもの。
晩ごはん。
また甘い。
気づけば、ひと回り。
何も買ってない。
・・・・・・まあ、いいか。
今日は季節を見に来たことにする。
エスカレーターで地上へ戻る。
外はやっぱり暑い。木もまだ青い。
でも、さっきより秋が近く感じる。
あ。
モンブランだけ、買えばよかった。