玉子焼き器。
四角い。
フライパンなのに。
丸いフライパンは肉も魚も野菜も焼く。こっちは、ほぼ玉子焼き専用。
ずいぶん思い切った道具だ。
幅は十数センチ。浅い。角が四つ。持ち手が一本。
卵液を流す。
巻く。
空いたところへ、また流す。
巻く。
丸い卵が、だんだん四角くなっていく。

・・・・・・よく考えたら、なんで四角くしたかったんだろう?
江戸時代には、すでに玉子焼きが食べられていた。
鍋が料理を生んだのか。料理に合わせて、鍋が変わったのか。
その順番より、いま目の前にある四角が気になる。何度も巻くなら、端が揃う形はたしかに都合がよさそうだ。
四角ければ端が揃う。幅が狭ければ巻きやすい。浅ければ箸も入れやすい。
なるほど。
形を見ていると、手の動きまで浮かんでくる。
銅。鉄。アルミ。フッ素樹脂加工。関東型、関西型。
同じ四角でも、けっこう違う。
朝の台所で、そこまで考える人はたぶん少ない。
卵を割る。
じゅっ。
巻く。
また流す。
・・・・・・あ、端っこ破れた。
でも四角い鍋だから、次の卵で隠せそう。
こういうところまで、よくできてる。

