冷蔵庫に、賞味期限が9月20日のヨーグルトがあるとする。
9月20日。
今日は16日だから、あと4日。こういうとき、私はなぜか少し安心する。まだ4日ある。
ところで、この「4日」は何だろう。

時計なら、9月20日の23時59分59秒を過ぎた瞬間に何かが変わる。でもヨーグルトは時計を見ていない。19日から20日へ、20日から21日へ。冷蔵庫の中では、たぶん昨日と同じように時間が流れている。
賞味期限は、おいしく食べることができる期限。消費期限は、過ぎたら食べない方がよい期限だ。どちらも、表示された保存方法を守った未開封の状態が前提になる。
この違いは知っていた。知っていたはずなのに、「9月20日」と印刷されていると、20日と21日の間に太い線が引いてあるように見える。
そういえばスーパーでも日付を見る。牛乳を取って、日付を見る。隣の牛乳も見る。奥にある一本も見る。同じ牛乳を買うだけなのに、ずいぶん日付を見ている。
少しでも先の日付を選ぶ。長く置いておける方がいい。理屈は分かる。でも、明日の朝に開ける牛乳でもやる。これは何だろう。
得をしたいのか。安心したいのか。未来の自分に、牛乳を残してあげたいのか。
話が牛乳になってしまった。
ヨーグルトに戻る。
期限は、食品の特性や試験・検査の結果などを踏まえ、表示に責任を持つ事業者が設定している。ただ適当に印刷された日ではない。一方で、賞味期限を一日過ぎた瞬間に、必ず食べられなくなるという意味でもない。開けたら、表示の日付とは別に早めに食べる必要がある。
ここまで考えて、別のことが気になった。賞味期限には、「年月日」ではなく「年月」だけの表示もある。消費者庁の説明では、製造日から賞味期限までが3か月を超える食品に認められている。
2026年9月。
それだけ。20日が消えた。19日も21日もない。急におおらかだ。
同じ「期限」なのに、日まで書かれると一日が大きく見えて、月までになると一か月がひとまとまりになる。数字の細かさで、こちらの気持ちまで変わる。
冷蔵庫を開ける。ヨーグルトはまだある。
9月20日。
今日は16日。