← STORIES
STORY 16

おにぎりは中身だけでなく、外側に何を巻くかでも土地の食べものになる。広島菜の大きな葉を『包むもの』として見る。

おにぎりを包むもの、と聞いて、海苔、ラップ、アルミホイルくらいを思い浮かべていた。

広島には、緑の葉で包んだおにぎりがある。広島菜むすび。

広島菜漬けの葉を広げ、その上におにぎりを置く。葉を折り、反対側も折る。ごはんが見えなくなる。

広島菜の葉で包んだおむすびと、白いごはんがのぞく包みかけのおむすびの水彩イラスト
中身より先に、外側の葉が気になる。Illustration: YOMITABE

広島菜は、白菜の仲間とされる野菜で、葉が大きい。漬物になると、その大きさがそのまま使い道になる。刻めば漬物。広げれば、おにぎりを包める。

海苔のように薄くはない。少し厚みがあって、葉脈もある。食べれば、漬物の塩気と少し辛い風味。その内側に白いごはんがある。

おにぎりというと、つい中身を見る。梅、昆布、鮭、おかか。何が入っているか。でも広島菜むすびを見ていると、外側もずいぶん大事だったことに気づく。

海苔を広島菜漬けに替えただけなのに、見慣れたおにぎりの形が少し違って見える。

広島菜は、広島市の川内地区で古くから栽培されてきた。太田川と古川に挟まれた土地で育つ大きな葉を収穫し、塩で漬ける。その漬物が食卓にあり、おにぎりもある。だから、巻く。

郷土料理というと、祭りや正月、祝いの日につくるものを思い浮かべることがある。広島菜むすびには、そういう決まった日がない。弁当に入る。家でも食べる。広島菜漬けはスーパーや土産物店にも並ぶ。

葉を一枚広げ、大きければ切る。ごはんを包む。