新品の焼き網。
銀色。
ぴかぴか。
麻の葉模様がきれいに並んでいる。
・・・・・・これ、火にかけるのちょっと嫌だな。
「和網」という焼き網の写真を見て、最初に思った。
焼くための道具なのに。
火にかけたところを想像する。
パンをのせる。
肉をのせる。
野菜をのせる。
当然、色が変わる。
油が落ちる。
焦げる。
洗う。
でも、完全には戻らない。
新品の道具を見ると、傷をつけたくない。
焦がしたくない。
できれば、ずっと最初の姿でいてほしい。

でも焼き網にそれを頼むのは、かなり無理がある。
焼くんだから。
写真を大きくして見る。
細い線材でつくられた麻の葉模様。
普通の格子より、ずいぶん込み入っている。
食材によっては、この模様が焼き目として移る。
この線、好きだな。
使う前もきれい。
でも、たぶん使ったあとも見たい。
どこから茶色くなるんだろう。
麻の葉の角だけ黒くなったりする?
パンの四角い跡が残る?
・・・・・・使ったあとの姿を待っているみたいで変だけど。
道具は、使うと古くなる。
というより、使ったことが表面に残る。
食べかすや油は洗い落とす。そのあとに残る、使った形跡を見てみたい。
それなら、この網は十回目くらいからの方が見てみたい。
ぴかぴかの麻の葉もいい。
でも、焦げた麻の葉もたぶんいい。
火にかけるの、もう惜しくない。
