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STORY 08

「新米」に惹かれるのは、新しいからだけではなく、いつもの白いごはんの向こうに一年の時間が突然見えるからではないか。

お米売場で、見つける。

新米。

あ。

今年も来た。

いつものコシヒカリ。いつもの5kg。なのに、この二文字がつくだけで急に気になる。

なんで?

去年のお米だって、ちゃんとお米なのに。

パンに「新小麦!」って大きく書いてあるのは、あまり見ない。豆腐もそう。

米だけ、毎年かなり堂々と「新しくなりました」と言ってくる。

いや、米が言ってるわけじゃないか。

こっちが勝手に反応している。

ごはんは一年中食べる。

朝も昼も夜も。

でも田んぼでは、春に植えて、夏に育って、秋に刈る。

当たり前なのに、茶碗に入るとその時間が見えなくなる。

新米を炊く日を思い浮かべる。

ふたを開ける。

湯気。

炊きたての白いごはんと一穂の稲を描いた、ラフな水彩イラスト
茶碗に入ると見えなくなる一年を、一穂だけ隣へ置いてみる。Illustration: YOMITABE

最初の一杯は、何ものせない。

ひと口。

・・・・・・今年のお米だ。

味の感想として変じゃない?

甘い、とか。もちもち、とかじゃなくて、今年。

でも、たぶんそれがうれしい。

さて、二杯目。

明太子、のせようかな。